放鷹義塾

放鷹義塾オフィシャルサイト

食物連鎖の頂点に位置する鷹と動物の命のかかわり
—人間が動物の肉をを食べるということ—食育にむけて—

1. 食物連鎖の頂点に位置する猛禽類

野生猛禽類は食物連鎖の頂点に位置しており、自然界の他の昆虫を含めた動植物がそれを支えています。一羽のオオタカが年間に食する量は鳩に換算して100羽を超えます。鳩のほかにキジやコジュケイ、カモ類、ウサギなど様々なものを捕獲しますがとりあえず鳩で考えます。繁殖期で雛が巣立つ直前は1日に3羽も4羽も必要です。(オス、メス、ヒナ3羽の計5羽分)ですから野生のオオタカは年間にすると相当量の餌を必要としています。 そのほかチョウゲンボウなどは昆虫や蛙、トカゲ、蝙蝠、ネズミ、鳩以下の大きさの鳥類を捕食しますし、ノスリはネズミやヘビも捕らえます。鳶は死肉やヘビ、魚なども食べますし、フクロウはネズミのほかに夜、自由に動けない鳥類を捕食すると聞いたことがあります。
このように、いろいろな種類の猛禽類が自然界の恵みによって生きています。
さて、話をオオタカに戻しますが、獲物となる鳥が植物食の鳥でであればその命を支える植物が、動物食の鳥であれば小動物が必要です。キジなどは植物の種を食べますが小さなヘビや昆虫も食べています。
このように、いっぱいの植物がいっぱいの鳥や獣や昆虫を生かし、また、それらが鳥や獣を生かします。それらの食物連鎖の頂点にいるのが猛禽類ということです。

※その昔、殿様が鷹狩をしていた時代から餌差(えさし)という職業がありました。
鷹狩りに使う鷹の飼育や、訓練で使用する餌の調達をしていました。
今の時代のような冷蔵庫、冷凍庫など無い時代でしたので、穀類や昆虫鳥など
様々な生き物を集め飼っていたそうです。
当時の苦労が偲ばれます。

2. 環境指標としての猛禽類の生息数

自然環境が豊かであれば様々な動植物の命に支えられながら猛禽類は活発に活動して、生息数を維持して繁殖します。農薬が盛んに使用されていた時代よりも今の方が生息数が多いのは、農薬の規制が厳しくなったことによると考えられます。また、個体数を減少させる要因として、自然環境の悪化があります。端的にいえば食物が減ることにあります。しかし、ここ数年、都市化が進み、自然環境が徐々に悪化しながら生息数は減少していません。まだ許容しうる環境が残っているとも考えられますが、今のところ食料には困っていないようです。

現在、オオタカの餌の重要な位置を占めているのは、鳩愛好家の飼育する鳩と、それらが野生化した鳩です。
これらはその年の気候に左右されず安定的に供給されます。これらが、野生鳥類の数の減少の穴を埋めていると個人的に考えています。
ある地域に行きますと、オオタカが増え始めてから、シラコバトが減少を始め、今では一羽も見なくなりました。一緒に減り始めたコジュッケイはかなりいなくなりましたがまだ生息しています。コジュケイに関しては防風林の減少や道路の交通量の増加も一因かと思います。しかしオオタカの生息数は減少していません。
その地域で鳩レースを趣味にしている人たちは、毎年種鳩を繁殖させヒナを150羽引くと、その内、舎外訓練中に約50羽はオオタカに持っていかれるそうです。
このようなことから、自然環境が豊かだからオオタカが生息していると、簡単には言いにくい現状です。年々、鳩の飼育者が減少していく傾向にあり、今後が危ぶまれます。

※オオタカは本来、自分より大きな獲物はあまり捕りたがりません。
また、親に育てられていたときに食べたことのある獲物を捕る傾向にあります。オオタカの調査を専門にしている人によれば、オオタカが好んで捕獲する鳥の
種類には偏りがあるそうです。カモ類が好きなオオタカはカモ類を狩に行き、鳩が好きなオオタカは鳩を狩に行くというように、個体差が大きい傾向にあるようです。もっとも、成功体験の繰り返しが野生でのスキルを磨きますのでこのようになるのかも知れませんが、自然界の鳥が減少すると、益々鳩を獲るオオタカが増えるかも知れません。

鳩の飼育者がその年に生まれた若鳩を、初めて舎外に出し、訓練を始めた頃や、種鳩を舎外に出した時などは、飛翔能力の弱さから簡単にオオタカに捕まります。鳩の飛ぶ能力がついていきながら、利巧になりながら、オオタカも捕獲のスキルを身に付けて行きます。獲物の少ない時や、子育てで獲物がある程度必要な時は、鳩の捕獲が増えます。

3. 鷹を飼育するということ

鷹を飼育するということは、やはりそれなりの覚悟が必要となります。今は冷凍餌が販売されていますが、やはり訓練には生きた動物も使用します。
ここで、自分が動物の命と如何にして向き合うか、という大きな問題が生じてきます。 餌に使用する鶉は採卵後の廃鶉が流通していますが、鷹の健康を考えれば、2~3ヶ月飼い直しして、本来の鶉の姿にしてからのほうが望ましいですし、鳩などもあらかじめ飼育しておいて、駆虫をして健康状態にしておくことも必要です。
普段の飼育では解体して与えますが、訓練では昔から生きた鳩などが使用されてきました。狩のスキルを身に付けさせるために、要所要所で生きた鳩などが必要となります。これは人間が、直接的または間接的に動物の命を奪うことになります。自然界で野生の鷹は常に行っていることだから、という人もありますが、そこに人間が係わってくるとなると話は違ってきます。また日常においても、人間は動物の肉を食べる習慣がありますし、その肉は動物の命を奪って手に入れた肉です。
近年、動物愛護やアニマルウエルフェアという言葉を耳にする機会が多くなってきました。このような社会の情勢をふまえ、古来の鷹狩りの観点から、人が動物の肉を食べるということについて考えてみたいと思います。

関連記事